1. TOP>
  2. Journal>
  3. #08 きっかけをデザインするプロジェクト

Journal

01

Journal #08

004_48

2014.05 Text:堀 紋子

昨今の自然環境に対する人々の意識向上に伴い、多くのエコロジー商品や環境に配慮したアイデアなどが日々誕生しています。自然エネルギーの利用、循環型社会の実現、地球に害の少ない成分、環境に優しい新素材の登場、地産地生や自給自足というイデオロギーなど、多種多様。何気ない生活の中でも知らないうちに環境破壊をしている、どこかでは環境問題に対する協力や必要性を感じていても、毎日の慌ただしさに追われて実際に取り組んでいない。
そんな現代社会に生きる私たちに、日々の暮らしの中での「環境に対する意識」を促してくれるのが今回ご紹介するGREEN MOTIONです。

その始まりは「THINK」との出会いから

GREEN MOTIONの始まりは2010年のこと。そのきっかけはある展示会での「THINK」との出会いでした。
「THINK」はデザインオフィスRICE-DESIGNが手がけた詰め替え専用のティッシュボックスでした。
日常に使うことで減っていくティッシュと、絶滅危惧動物の命が減っていくことを透明なパッケージで表現したコンセプチュアルな製品です。

「THINK」を使うことで、少しでも環境に対する意識が芽生えれば…、3枚使っていた人がそこに描かれている絶滅危惧種の動物達を見た時、使用量を1枚に減らそうという気持ちになれば。
そして「THINK」の製品化に向け様々なティッシュの調査が始まりました。

箱入りティッシュボックスは、中に入っている紙のサイズは各社さまざまである事が判明。ある一方で大手スーパーなどではケースへの詰め替え用として、紙箱ではなくビニール袋入りティッシュがより安価で販売されている。簡素な袋入りティッシュのニーズがあり、市場は以前とは変わり始めていた。
日本は世界のどこの国よりもティッシュを使う量が多くアメリカの3倍も消費しており、使用後に処分される一般的なティッシュの紙箱が年間約57,600トン(2010年時のデータ)にも及ぶことが明らかになったのです。
簡素な袋入りのティッシュのサイズは各企業ほぼ統一されていることが分かりました。箱入りティッシュを袋入りに変えるだけで、相当量のゴミが減り環境への配慮実現に繋がる。

THINKのサイズは、この袋入りティッシュのサイズで製品化することを決定しました。

▲「THINK」サヴァンナ

同じヴィジョンで結びついた
エコウォッシュボール

時は遡り2008年のこと。オランダのとあるインテリアショップのオーナーから「エコウォッシュボール」の評判がメンバーの耳に入りました。
ソフトボール球程の丸い玉を洗濯物と一緒に洗濯機に入れるだけで、水の洗浄力を高めて汚れを落とし、洗剤が通常の1/5程度になりお財布にも地球にも優しいという商品。
日本販売締結のため製造元である韓国メーカーとの交渉を進めることになりました。

▲ 2色展開のエコウォッシュボール

GREEN MOTIONの誕生

日常生活の中で普段使えるもの、
それが環境に配慮しながら使える製品であり、環境を考えることをふと気付かせてくれるもの。
見た目にも良いデザインであり、無理なく使える製品であれば。
きっかけはデザイン性であっても、使っているうちに品質の良さに気づき、商品説明を読み、徐々にエコロジーに対する考えが根付いて行けば良い。

THINK」と「エコウォッシュボール」のヴィジョンが結びつき、
そして「考える“きっかけ”になるモノづくりを目指すブランド」=「環境意識改革を促すプロジェクト」という構想の基盤が生まれました。こうして2010年も後半に差し掛かる頃、GREEN MOTIONは誕生したのです。

いくつもの出会いが新商品を生み出す

ブランドが始動して間もなく、
知り合いのメーカーが開発した海洋タンカーの事故処理研究から生まれた洗濯洗剤と出会いました。
この洗剤は少量でも高い洗浄力と分解力を持ち、1週間で100%生分解するという自然にも優しい洗濯用洗剤。
GREEEN MOTIONコンセプトに完全なまでにマッチしていました。
洗濯という生活の中でなくてはならない行為が、環境破壊を少しでも無くすことに繋がる。
この製品はもっと社会に拡げるべきモノだ。
そしてGREEN MOTIONとしても販売することが決まったのです。

パッケージにはとことんこだわり、人目に触れても邪魔にならないデザインにし、アパレルやインテリアショップなどでの取扱いを考慮した商品に仕上げて行きました。

▲ 海洋タンカーの事故処理研究から生まれた洗濯洗剤エコランドリーリキッド

2013年に入ると強力に油分を分解する「キッチンクリーナー」「マルチクリーナー」が発売となり、続いて水だけで汚れが落ちる「エコマルチクロス」、自然栽培綿100%を使用した「手つむぎタオル」がラインアップに加わりました。2014年にはリサイクル素材として注目を集める「コルクスリッパ」が登場するなど、年々GREEN MOTIONの仲間は増え続けています。

これらGREEN MOTIONの製品が誕生する背景には、人やモノとの出会いが大きく関わっています。展示会に向けて新しい商品を生み出さなくては……などという目先の利益や話題性だけに捕われる安易なモノづくりではなく、良い品や同じ想いを持つ人との出会いを経てGREEN MOTIONとして相応しい内容やデザイン性を加え、納得したモノが完成した時点で発売する、商品完成主義の方法がとられているのです。

▲ キッチンクリーナー、マルチクリーナー

▲ エコマルチクロス

▲ 手つむぎタオル

▲ コルクスリッパ

小さな意識が大きなムーブメントを起こす

環境を考えること、配慮することは決して美意識からかけ離れた事ではなく、個々の生活を犠牲にするものでもありません。
自然も人も無理なくお互いが幸せでいられる状況を作ることが、環境に対する行動を継続させ、これから先の未来に繋がっていきます。
機能性、デザイン性に優れた本当に良いモノを使い続ければ、それは本質的な日々の豊かさに結びつくはずです。
そのきっかけは、見た目のデザインの心地よさからでも良いのではないでしょうか。
GREEN MOTIONからそれが始まってくれたら。

2014.05 Journal #08「きっかけをデザインするプロジェクト」

Text:

堀 紋子

北欧ジャーナリスト&コーディネーター

Journal